わたくしは友を顧みて、百花園を訪うのは花のない時節に若くはないと言うと、友は笑って、花のいまだ開かない時に看て、又花の既に散ってしまった後来り看るのは、杜樊川が緑葉成レ陰子満レ枝の歎きにも似ている。風流とはこんな事だろう。他の一友は更に傍より、花壇に花のないのは、あるべき筈のものが在るべき処にないのだ。之を看てよろこぶのは奇中の奇を探るもの。世には風流を解しないものも往々この奇を知る。と言出したので、一同おぼえず笑って座を立った。
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