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2021年2月5日金曜日

『小さき花にも』豊島与志雄


私は泣いた。うれしくて泣いた。
銀杏樹には、今は雀はいない。小雀、小雀、帰ってこい。チイチク、チュクチュク、チイチク、チュクチュク、騒ぎまわってくれ。胸の張り裂けるほど囀ってくれ。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/card42746.html

2021年2月3日水曜日

『梅花の気品』豊島与志雄


気品はこの世に稀である。それは地上のものというよりも、寧ろ多く天上のものであり。この地上に在っては、その本来の面目を汚されるというのではないが、そこに在るにはあまりに清らかすぎる。然しながら、それを地上に引下して、己が所有とした所に、人の魂の朗かさがある。地上から天上へと人の魂がかけ渡した、多くの橋梁のうちの一つが、其処にあるとも云い得らるる。それ故に、気品は一の抽象であって、一の具象ではない。随って気品は、如何なる人にも親しまれ易い。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/card42475.html

『樹を愛する心』豊島与志雄


樹木を愛する心などは、一文の価値もない、と或る人々は云うだろう。然し私は、崖の中途に根を露出してる樹木を、社会的に虐げられてる人間と同一だと観る。そしてそれらの樹木から、根深い力と闘争とを教えられる。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/card42508.html