ラベル 寺田寅彦 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 寺田寅彦 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年2月5日金曜日

『夏』寺田寅彦


夜は中庭の籐椅子に寝て星と雲の往来を眺めていると時々流星が飛ぶ。雲が急いだり、立止まったり、消えるかと思うとまた現われる。大きな蛾がいくつとなくとんで来て垣根の
烏瓜(からすうり)の花をせせる。やはり夜の神秘な感じは夏の夜に尽きるようである。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card42230.html

2021年2月3日水曜日

『どんぐり』寺田寅彦


園の静けさは前に変わらぬ。日光の目に見えぬ力で地上のすべての活動をそっとおさえつけてあるように見える。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card827.html

『烏瓜の花と蛾』寺田寅彦


ソロモンの栄華も一輪の百合の花に及ばないという古い言葉が、今の自分には以前とは少しばかりちがった意味に聞き取られるのである。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card43250.html

『藤の実』寺田寅彦


人間がけがをしたり、遺失物をしたり、病気が亢進したり、あるいは飛行機がおちたり汽車が衝突したりする「悪日」や「さんりんぼう」も、現在の科学から見れば、単なる迷信であっても、未来のいつかの科学ではそれが立派に「説明」されることにならないとも限らない。少なくもそうはならないという証明も今のところなかなかむつかしいようである。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card2339.html

『路傍の草』寺田寅彦


雑草の内にはわれわれの栽培している五穀や野菜や観賞植物とよく似通ったものがはなはだ多い。もしこれらの雑草を特にかわいがって培養し教育して行ったら、何代かの後にはかえって現在の有用植物よりももっと有用なものができうる可能性はないものだろうか。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card2454.html

『病室の花』寺田寅彦


今こうしてただ病室をにぎわしてくれた花の事だけを書いてみると入院中の自分の生活のあらゆるものがこれで尽くされたような気がする。人が見たらなんでもないこの貧しい記録も自分にとってはあらゆる忘れがたい貴重な経験の総目次になるように思われる。

『球根』寺田寅彦


自分の内部の世界のすみからすみまでを照らし尽くすような気がしても、外の世界とちょっとでも接触する所には、もう無際限な永遠の闇が始まる、という事がおぼろげながらも彼の頭に芽を出しかけていた。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card2333.html

『枯菊の影』寺田寅彦


その時自分は張りつめた心が一時にゆるむような気がして心淋しく笑ったが、眼からは涙が力なくこぼれ落ちた。


https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card24425.html