2021年2月3日水曜日

『菊の根分をしながら』會津八一


さ庭べの菊の古根も打ち返へし分ち植うべき春は来にけり

菊植うと下り立つ庭の木の間ゆもたま/\遠き鶯の声
取り持てばもろ手にあふれ籠に盛れば籠にあふれたる菊の苗かも
十の指土にまみれて狭庭べに菊植うる日ぞ人な訪ひそね
今植うる菊の若草白妙に庭を埋めて咲かずしもあらず
今植うる菊の草むら咲き出でて小蜂群れ飛ぶ秋の日をおもふ
武蔵野の木ぬれを茂み白菊の咲きて出づとも人知らめやも
武蔵野の霞める中にしろ妙の富士の高根に入日さす見ゆ

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