2021年2月5日金曜日

『さざん花』川端康成


その子は生ある人であったのか、私はなんとも言えない。それは母胎のなかにいただけだ。この世の光に触れなかった。心というようなものは持たなかったかもしれぬ。しかし私達と五十歩百歩だろうし、あるいは最純粋で最幸福な生であったと言えるかもしれない。

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