2021年2月5日金曜日

『落日の光景』外村繁


しかし今日の暖気の中には、花の香りはなかった。やはりこの花の香は、早春の寒冷な空気の中に漂い匂うのがふさわしいのか知れない。私は病院の正門を入り、
沈丁花の植込の方へ行ってみる。沈丁花の花弁の紫色はすっかり色褪せてしまっている。盛りを過ぎた花の香りは極めて儚い。


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