2021年2月3日水曜日

『花を持てる女』堀辰雄


どんな人でもいい、ただ私を大事にさえしてくれる人であれば。――それが母の一番考えていたことであったようである。それには母がいつもその人の前に頭を下げていなければならないようでは困る。その人のほうで母にだけはどうしても一生頭の上がらないように、その人が非常に困っているときに尽くせるだけのことは尽くしておいてやる。そういう不幸な人である方がいい。――そういった母の意にかなった人が、ようやく其処に見いだされた。


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